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人材育成のためのTrustedな学修情報流通システム(富士通Japan株式会社)

2023/07/07ユースケース
人材育成のためのTrustedな学修情報流通システム(富士通Japan株式会社)

2022年度「Trusted Web の実現に向けたユースケース実証事業」において実証を行ったユースケースのうち、富士通Japan株式会社の行った「人材育成のためのTrustedな学修情報流通システム」の内容をご紹介します。

ページ下部の各資料リンクから、より詳細な実証内容についてご覧いただけます。

背景と目的

 労働人口が減少する社会において、企業の人材獲得競争は激化する傾向にあり、優秀な人材を獲得するため、企業の採用方法も変化している。例えばダイレクトリクルーティングサービスの拡大など、人材を採用したい企業が、転職や就職したい人材に直接アプローチする方法も取り入れられるようになってきた。登録者はサービスにて自身の能力や実績をアピールし、企業側はこの情報を参考にしつつ自社にマッチする人材か判断することが可能となる。
 また「採用と大学教育の未来に関する産学協議会2021年度報告書」では、リカレント教育の必要性を掲げている。変化の激しい時代に、仕事をするうえで必要なスキルや能力は大きく変化している。人生100年時代を迎え、働く期間が長期化し、主体的なキャリアアップやキャリアチェンジが求められ、学び直しの重要性も高まっている。これに伴い、大学は社会人へのリカレント教育を通じて、新しい教育機会の創出や、「知の拠点」としての価値向上が期待されている。

 このような状況の中、企業が求める人材とのマッチングや、キャリアアップ・能力開発に必要な教育との マッチングのニーズはより一層高まっている。その際に重要となるのが、個人が備えている学修成果やスキルを可能な限り正確に、かつ効率的に企業や教育機関と共有することである。現在ではその方法として、応募者自らが自身の学修成果やスキルを、個々の企業や大学が運営するサイトや就職・教育仲介サービスのサイトに入力する、もしくは紙やPDF等の送付により実現している。また、必要に応じて大学等の教育機関から発行される証明書を企業に提出している。しかし、応募者が入力した情報が正しいかどうかを企業・教育機関側が検証することが困難であったり、証明書の真正性を確認するための時間や事務コストが発生したりするなどの課題がある。応募者としても各企業や大学に自身の情報を共有する手続きや入力フォーマットの違いによる煩雑さや、申請した情報が正しく企業・大学に扱われているかの懸念に関する課題がある。これらの要因により、効率的・効果的なマッチングが阻害されている。

 そのため、個人の多種多様な学修成果や保有スキルと、それらを効果的に発揮できる職業・業務等のマッチングを、信頼性を高めつつ、利用者主体で簡易に活用可能なデジタル情報流通の仕組みで実現することが必要である。これにより、応募者は自分の学修成果やスキルを一元管理することができるとともに、安全に企業・大学と共有することができるため、自分の能力を発揮できる職場やより良い教育機会を得ることが、効率的・効果的に実現できるようになる。企業・大学は正確、効率的に多様な応募者の学修成果・スキルを知ることができるため、個々の応募者の状況に即した適切な採用判断や、最適な教育の提供ができるようになる。

課題とTrusted Webによって解決する内容



検証を行うデータ

  • 学生が指導教員に承認依頼した活動・スキルの内容が、正しいかどうかを指導教員が確認した後に証明する。富士通の提供するIDYX1、及びその上に構築されたアプリケーションにて一連のやり取りを制御する
  • 学生が企業に提出した活動・スキルの申請内容(属性情報)が虚偽でないかどうかを確認するために、申請書に記載の各属性情報の証明元をVC2の署名検証によって検証する。IDYXにて一連のやり取りを制御する
  • 学生及び指導教員の本人確認について、MicrosoftのAD認証を用いて実現する


1)富士通が開発したアイデンティティ流通技術(IDYX:IDentitY eXchange)
2)Verifiable Credentials(VC)。国際標準化機関であるW3Cによって標準化されている検証可能な証明書(https://www.w3.org/TR/vc-data-model/ )

主な成果

証明が困難な能力等も含めた学修成果の証明

  • 学生自身で証明が困難な個別具体的な学修内容や能力を、信頼できる他者に証明させることで、企業に対して正確に学生の成果を連携できる。これにより、個別最適な就職支援が可能となる
  • 今までは就職活動において証明することが困難だった成績評価以外(ボランティア活動や部活動)の学修成果や能力を証明することが可能となった
  • 一方で学生が自身に都合の良い活動・スキルのみを選択し企業に提出することも可能なため、企業側が学生を正しく評価できない恐れがあることがデメリットとなる。このように自己主権型のユーザー利便性と情報の透明性(都合の良い情報のみ開示されること)はトレードオフの関係にあるため、用途に応じた適切な情報開示のシステムでのコントロールが必要不可欠となる
  • 指導教員が中立的・客観的に学生を評価・証明できるか、指導教員自体の信頼性をどのように高めるかについては今後の課題となる

ビジネスモデルの検討

  • 成績証明書等、既に紙などで運用されている証明書ではなく、現状ではまだシステム化されていない活動・スキルに関する証明の方が、より社会的なニーズが高いことが分かった
  • 今回の実証で採用した活動・スキルを登録する粒度について、学生が迷うことなく容易に活動・スキルを登録・評価でき、企業に提出する活動・スキルを適切に選択できることが実証できた。


ユースケースに関連する資料

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