2023年度「Trusted Webの実現に向けたユースケース実証事業」におけるユースケースのうち、Institution for a Global Society株式会社による「国際間の教育拡充と労働市場の流動性を高める信頼ネットワーク構築～お金の問題なく学び自らの可能性を広げられる世界へ～」をご紹介します。

事業内容

• デジタル領域に関する学習プログラムを提供し、受講者の成績データを暗号化・分割し、パブリックブロックチェーン（BC）とリレーショナルデータベース（RDB）に分割記録する。
• 受講者はプログラム修了後、日本の採用市場にエントリーし、受講者本人のデバイス上で情報を複合化・準同型暗号化して送付する。
• 採用市場では送付された情報を利用し秘密計算を行い、能力値を計算し、求人企業の入札価格の基準とする。
• 事業は求職者の入社成功報酬に基づいて運営される。

社会的・経済的な価値

• IT人材不足や多様性の観点から日本では海外からの高度能力人材が必要であり、人材育成と国内への人材流入を促し、国際的な労働力の流動性を高める必要がある。
• 各国での個人情報のレギュレーション対応コストを下げることで国際的な人材流動性を向上させる。
• 転職活動のコスト削減や労働供給制約の緩和、能力データの標準化などにより転職活動の市場拡大を促進する。
• 教育へのアクセス拡大と機会均等実現により、社会的格差の縮小と人材育成の促進に寄与する。
• データの安全性とプライバシー保護を重視しつつ、グローバルな人材の採用を促進し、国内外の労働市場の活性化に寄与することが期待される。

Trusted Webの実現により解決する内容

• 教育機会の拡充と能力データの標準化（欧州や中東で広がるESCO基準【1】をもとに、応募企業がこれまで世界で培った能力定量化技術を応用）。
• ブロックチェーン上への暗号分割格納技術を活用した教育・労働市場データの信頼ネットワーク構築－情報の真正性と安全性の確保をするBCとRDBにデータを暗号、分割化して記録する仕組み。
• 世界各国の個人情報保護法制の違いを超えるために秘密計算を用いた企業と求職者のマッチングシステム。
• 各国政府の個人情報保護規制に準拠しながら、個人が自らの学習データを管理することが可能。

実装するシステムアーキテクチャアプリ概要

• 【Web】データを（秘密計算が行える）準同型暗号などの形式で暗号化して、採用マッチングシステムに提供する機能
• 【Web】スカラ値を受け取り秘密計算で対象者を抽出する機能、及び採用マッチングの簡易画面
• 【設計】スマホで暗号化したデータを分割し、BC・RDBに保存する機能
• 【設計】BC・RDBに保存されたデータをスマホで複合化する機能
• 【設計】データを（秘密計算が行える）準同型暗号などの形式で暗号化して、採用マッチングに提供する機能のスマホアプリ版

ユースケースに関連する資料

• 中間報告（YouTubeリンク）
• 最終報告（YouTubeリンク）
• 成果概要（PPTX 2枚でまとめたもの）（資料リンク）
• 最終成果報告書概要版（PPTXをPDF化）（資料リンク）
• 最終成果報告書（Word文書をPDF化）（資料リンク）
• デモ動画（YouTube）
• ソースコード、要件定義書、基本設計書、Read me等（GitHubリンク）

引用

【1】ESCOとは欧州の労働市場における職種、スキル、行動特性を定義・分類したもの。