分散型IDを用いた炭素排出量トレースシステム(DataGateway Pte. Ltd.)
2023/07/07ユースケース

2022年度「Trusted Web の実現に向けたユースケース実証事業」において実証を行ったユースケースのうち、DataGateway Pte. Ltd.の行った「分散型IDを用いた炭素排出量トレースシステム」の内容をご紹介します。
ページ下部の各資料リンクから、より詳細な実証内容についてご覧いただけます。
背景
世界規模で取り組まれている温暖化効果ガス削減の対策、ESG投資の高まり、国内における市場区分の見直し、スタンダード、プライム、グロース各市場に対しESG課題に対する積極的な取り組みを求めることがコーポレートガバナンス・コードにて明記された。企業・社会におけるSDGsの積極的導入などを背景に、脱炭素の施策とその可視化が急務となっている。また、ヨーロッパからは炭素税の導入が迫られており、輸出品には炭素使用量の記載が義務付けられるため、ヨーロッパ向けの輸出品など一部国内でも対応されているが日本国内でも2050年カーボンニュートラル達成に向け環境省などで炭素税の適正化について議論されている。
現在の問題点として、一般的に炭素税、カーボンクレジット算出のためのアナログな計測による数値算出、開示のための数値転記、外部への開示等が主に人力を中心に行われ、第三者機関等外部の認証を通すことも少なく、各社独自基準での自社認証や、団体ごとの基準によって算出、開示されており、相対的な評価ができなくなっている。
目的
炭素排出量の算出・開示フローを可視化することをゴールに、以下の項目を達成することを目指す。
- IoT機器等から数値を集約し、入力する工程の自動化
- 炭素排出量の客観性担保、改ざん防止
- サプライチェーン上の複数社から開示された炭素排出量の統合とそのトレーサビリティの実現
- 企業の機密事項および社員の情報の選択的開示
課題とTrusted Webによって解決する内容
検証を行うデータ
- IoTセンサーから直接データを取得・処理し分散型ストレージにデータを保管することによって、データが改ざんされていないことや、データがどこで測定されたか等の証明をVC(Verifable Credential)の検証により実現
- リレーションシップクレデンシャルによって、サプライチェーン上の許可された法人からのみデータ取得依頼が起こる
- 適切な管理者の承認のもとにデータが共有される
主な成果
主な成果
- 実証を通じて、データの無改竄(改ざんされていないこと)証明には、ブロックチェーンと組み合わせるよりも、分散型ストレージと組み合わせる方が消失リスクの低減やセキュリティの付与の面で利点があることがわかった。
- 分散型IDとZKP(ゼロ知識証明)/秘密計算を組み合わせることで、個人のプライバシー情報、組織の秘密情報を保護したまま、改ざんのおそれなく正確にデータを記録・計算・可視化することができる。暗号化したままデータ活用するため、複数組織・企業を跨ぐ場合にもデータの取り扱いがセキュアにできるようになり、従前は温室効果ガスのトレーシングに抵抗のあった企業も参加可能となった。
- GHGプロトコル※を活用した、信用可能な一次データの実装形として実証ができたため、この形式を国際標準化するように業界団体とともに国際的に働きかける動きを始めることができた。※GHGプロトコル:温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の基準
ユースケースに関連する資料
- 成果概要(PPTX 2枚でまとめたもの)(資料リンク)
- 最終成果報告書概要版(PPTXをPDF化)(資料リンク)
- 最終成果報告書(Word文書をPDF化)(資料リンク)
- デモ動画(Youtubeリンク1/2、Youtubeリンク2/2)
- ソースコード、要件定義書、基本設計書、Read me等(Githubリンク)
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